テレジン通信:2011年5月
【報告レポート】「イスラエル独立63周年記念の夕べ」にてミニ・コンサート開催
去る5月19日(木)、日本イスラエル親善協会が主催する『イスラエル独立63周年記念の夕べ』の会で、『テレジン もう蝶々はいない』をミニ・コンサートの形で上演しました。
■ 開催日時 : 2011年5月19日(木) 15時~16時45分
■ 主催 : イスラエル親善協会
■場所:いきいきプラザ一番町(東京都千代田区)
震災後の節電対策で、公共のホールなどの休館が相次ぎ、心配していたのですが、会場の<いきいきプラザ一番町>は、夕方5時で閉館ということがわかり、急遽、午後からの上演と決まり、時間も予定より短くなり、新しく台本を書き直しました。
5月5日は、東日本大地震の被災者への支援金募集ということで、お話も、テレジンで生き残った子どもたちの体験が、被災した子どもたちの今の生活と重なる、家を失い、親や友だちを失った子どもたちに、生きる喜びを伝え、明日への希望を育てるにはどうしたらいいのか、今こそ、東北にフリードル・ディッカーが必要なのではないか…ということを中心にしましたが、今回は、外交官の方をはじめホロコーストの事実について知っている方が多いので、悲しい歴史よりも、子どもたちの生きる力の素晴らしさをテーマにお話しすることにしました。
京都に住み、主に関西で活躍しているピアニスト 島田貢さんに編曲と、当日の伴奏を依頼、歌は、西山琴恵さんひとりで、「哀しみのプラハ」から「テレジン 囚われの街」まで7曲をえらび、会場の都合で照明の切り替えがないため、背景に、プラハの風景や子どもたちの絵を映すことにしました。
前日の2時間しかリハーサルの時間がとれないという状況の中、はじめてピアノでの上演で、ちょっと不安な気持でしたが、西山さんは日帰りで京都までリハーサルに出かけ「いい曲になりました!」のメールにほっとして、前日を迎えました。ところが、西山さんは咽喉をいためて声が出ず病院から直行。マスクをして、おしゃべりするのも可哀そうなほどの状態でリハーサルです。それでも、素晴らしいピアノ伴奏で、はじめて合わすお話と音楽もスムースに気持ちよく、後は、西山さんの声と、本番ではじめて映す映像がどうなるか、主催者側も不安そうでしたが、地震の後遺症がこんなところにも出たと思うしかないのかと考えながら当日を迎えました。
結果は、「とてもよかった!」と、ニシム・ベンシトリット在日イスラエル大使も喜んでくださったとか、主催者側の方たちからもお褒めの言葉をいただきました。(大使からは、ワインのプレゼントをいただきました。滅多にないことだそうです!)
これまで十数年、作曲をした中村ヨシミツさんのギターと、バイオリンをはじめパーカッションやフルートが入っての上演を続けてきました。ピアノ曲なら、学校で教師が伴奏できると言われたこともありましたが、逆に、ギターだからどこででもできると思っていました。これで一つ新しいパターンができたのは事実です。子どもたちの詩を歌にしたものなどは、ピアノ伴奏で子どもたちが歌えたら、また別のテレジンのコンサートになるでしょう。テレジンが、これからも長く続くためには、さまざまな可能性を試して行くことも大事なだと思っています。学校の子どもたちに楽曲提供をしてあげるのも良いですネ。
【フォトギャラリー】 ※写真をクリックすると拡大でご覧いただけます。
テレジンを語りつぐ会の皆さまへ【ご報告とお知らせ】 2011.05.06
昨日(5月5日)、銀座文化サロンで、被災地への支援金を集めるための『テレジン もう蝶々はいない』コンサートでした。おいでくださった方、支援金を入れてくださった方、本当にありがとうございました。本の売り上げを含めて47,000円集まりました。どういう形で支援を実現させるかは、今月末か6月初めに例会を開いてご相談します。
昨日、野村が昔作っていた雑誌『グラフふるさと』を持参しました。石巻の美しい風景、北上川やそこにかかる橋や漁港、古い教会や民家などをお見せしようと思ったのですが、その表紙の写真がなんと、先日チャリティ・コンサートに行った中村ヨシミツさんが撮って来た写真とほぼ同じ場所。あの美しかった思い出の場所、91年に『テレジン収容所の幼い画家たち展』を開いた会館も、その時泊ったホテルもみんな瓦礫の山になっていました。 そんな被災地の子どもたちを思って開いたコンサートは、いつもと少し台本を変えました。親や兄弟や友だちをなくし、家も学校も遊び場も失ってしまった子どもたちのために、私たちに何ができるか。私たちは、テレジンの事実をとおして、笑顔を失い、希望をなくした子どもたちが、もう一度、笑顔で、明日への希望を語れるようになった事実を知っています。今、私たち一人ひとりがフリードル先生になったつもりで、子どもたちに語りかけたいと訴えました。
先日プラハで会ってきたディタ・クラウスは、解放後、普通の生活に戻ってから、自分だけが“生き残ってしまった”という思いに苦しんだと言います。「自分よりも、あの人が生き残った方がよかったのに」「自分が生き残ったのは、誰かの犠牲の上ではなかったか」…そんな罪悪感のようなものがあって、自分が幸せになることはいけないと思っていたのだそうです。 あの被災地の子どもたちにそんな思いをさせたくありません。「生きていてよかったわね」と心から言ってあげたい。「助かった命、生きているって素晴らしいのよ」「亡くなった人の分まで幸せになっていいのよ」と、言ってあげたいという思いをこめたコンサートになりました。
仙台から、画家の前田優光さんが来てくださいました。三陸の海沿いの風景を描いていた方です。彼も、私たちが石巻へ行けるようになったら一緒に行こうと言ってくださいました。そして、プラハの美しい風景などが描かれた絵本『愉しくなくちゃ絵ではない』を寄付していただき、その売り上げをすべて支援金に入れました。ありがとうございます。
5月19日、イスラエル独立記念行事に招かれて、『テレジン もう蝶々はいない』のミニ・コンサートをします。初めてピアノに編曲、ピアニストの島田篤さんと西山琴恵さん、野村の三人が出演します。ぜひ聞きにきてください。(会場の都合で、申込みが必要です。FAXで送ってください) 詳細はこちらから