テレジン収容所の幼い画家たち展

1991年から全国各地で展覧会を開き、企画・主催者である野村路子は、各地で講演会を開いてきました。さらに数冊の本を著し、コンサートを開催するようになって、おとなばかりでなく、小学生、中学生、高校生と話し合う機会を重ねてきました。

 

子どもたちにとって、“ホロコースト”という歴史上の事実は、はじめて知る大きな衝撃でもあります。
「これまでヒトラーやナチスのことは知っていたけど、たくさんの子どもまで殺したなんてヒドイ!」
「本当に恐ろしい、こんなひどいことをするなんて許せない」
という感想文があるのも事実です。

 

1991年開催の「テレジン 幼い画家たち展」展覧会場入り口
1991年開催の展覧会場入り口

<テレジンを語り継ぐ会>の代表・野村は、著書の中でも、講演会でも、「こんな悲しい歴史がありましたと伝えたいのではありません」と語っています。
「たしかに、アウシュヴィッツは人類史上最大の悪であり、ユダヤ人の悲劇は忘れてはならない事実です。でも、テレジンを語るとき、いちばん大切なことは生きる力、優しさ、希望など人間の素晴らしさなのです」と。

 

 

1991年開催「テレジン 幼い画家たち展」東京新宿展会場内風景
1991年東京新宿展会場内風景

テレジンは、ホロコーストの歴史の上では、「アウシュヴィッツという地獄への控え室だった」と言われています。1万5000人いた子どもたちのうち、生き残って平和の日を迎えたのが100人だったという事実は、それを物語っています。

 

でも、子供たちが遺した絵や詩が私たちに教えてくれるのは、決して悲しい事実だけではないのです。

 

テレジン収容所の幼い画家たち展

「つらい収容所生活だったけれど、それでも、あのフリードル先生が来てくれる絵の教室は本当に楽しい時間でした。楽しかったことを思い出して絵を描いていると、また明日は遊園地へ行ける、学校へ行けると信じられたのです」

―――数少ない生還者の一人、ラーヤ・エングランデロヴァーさん(プラハ在住)は、語っていました。乏しい食べものを奪い合っていた子どもたちが、教室が始まってからは具合の悪い仲間のために命がけでジャガイモを盗んできたりするようになったのだそうです。 

 

テレジン収容所の幼い画家たち展

楽しそうな遊園地の絵、学校の前に立つ子どもの絵、美しい花畑の絵、蝶々に夢を託す詩、見知らぬおじいちゃんに語りかける詩……

 

そんな一つひとつが、私たちに、生きていることの素晴らしさ、明日を夢見ることの美しさを伝えてくれます。

 

 

 

だからこそ、小・中・高校生から、こんな感想が寄せられるのでしょう。

  • 一日一日をもっともっと大切に生きなければ、と思います。。

  • 当たり前と思っていた今の生活に感謝し、精いっぱい楽しく生きていきます。。

  • 学校へ行ける、友達がいる、両親がいるってことは素晴らしいのですね。。

  • 今の平和な時代に生まれてきたことに感謝し、テレジンの子どもたちの分まで頑張り、もう二度と戦争が起こらない世界にするために勉強します。。

  • 私たちもクラスでヒトラーと同じことをしていました。ゴメンナサイ。。

  • ずっと自殺を考えていたけど、これからは命を大事にして行きます。。

  • ぼくも、もっと前に、テレジンの絵の先生に会いたかったです。。

そして、いくつもの学校で、クラスで、“いじめ”がなくなったそうです。

  • 小さな面白半分のイジメだったけど、やられていた子の悲しみが分かりました。

 

おとなの人からも、戦争、平和についてたくさんの感想が寄せられます。

命の大切さ、生きていることの素晴らしさ、当たり前と思っている今の生活への感謝、他人への優しさ、自己犠牲の意味、希望を失わず生きること、そして、自分に何ができるか―――

それを考えるために<テレジン>を知ってほしいのです。
ぜひ、みなさまの街でこの展覧会を開いてください。 

『テレジン収容所の幼い画家たち展』のパネルは、埼玉県平和資料館から無料で貸し出しをしています。

ただし、輸送はそれぞれの開催者の方で手配し、費用は負担していただきます。

 

 

展示用パネルについて

 

※1991年から使用しているパネルは、90×90cm のものが、20枚入る木箱で6個あります。

うち2箱は、「解説パネル」で、ナチス台頭当時の写真、ユダヤ人絶滅作戦への動き、テレジン、アウシュヴィッツなど、背景になるものを写真、資料と解説で見せるものです。子どもたちの絵は150枚ありますが、それを「楽しかった思い出」「収容所の生活」「自由へのあこがれ」と三つのジャンルルに分け、さらにパネルは、絵を大きく1枚使ったもの、2枚、3枚、4枚、詩と絵を組み合わせたもの、解説の入ったものなど、さまざまな構成になっています。ほかに、「フリードル・ディッカー」、生き残った子どもであるディタ・クラウス、ラーヤ・エングランデロヴァー、ヘルガ・ホシュコヴァーの紹介、イスラエルのヤド・ヴァシェム提供のピーター・ギンツ、イェフダ・バコンの絵があります。  

これは、すべて使用しなくても、適当な枚数を選んで展示も可能です。

 

※新しい12枚セットは、90×90cmで、平和資料館が作ってくださったスチールのケースに入っています。

小・中学生にも分かりやすいような、ホロコースト、テレジンの説明を入れて、子どもたち の絵を見せるためのものであり、小規模な展覧会、野村の講演会のときなどに利用しやすくなっています。

 

※最新の20枚セットは、今のプラハ、テレジンなどの写真も入れ、過去のこととして終わらせるのではなく、フリードルの生き方、考え方などが、今の私たちに大切なメッセージを送っていることを強調した構成になっています。いずれも、展覧会開催希望の方にはお貸しします。日程、会場などが決まりましたら、埼玉県平和資料館へ直接、あるいは「テレジンを語りつぐ会」野村路子にお申し出ください。  

 

■埼玉県平和資料館    Tel.  :  0493-35-4111  ホームページはこちらから           

■テレジンを語りつぐ会  e-mail  :  teresien-japan@gmail.com   フォームからのお問い合わせ